人吉球磨に来たら、この人にぜひとも会っていてほしい。地域のディープな魅力にふれるなら、この人の話を聞いてほしい。

そんな人を人吉球磨ワーケーションのコンシェルジュが紹介していく「人物図鑑」。

今回ご紹介するのは、ゲストハウスとカフェが一体となった人吉市で今“熱い”お店、「Ao.HOSTEL＆CAFE LOUNGE」の堺大誉さんです。

令和2年7月豪雨は、人吉球磨の広い範囲の流域地域で大きな被害をもたらしました。

人吉市の中心街にも浸水被害が襲い、多くの商店が被害を受け、堺さんご家族が営んでいた宿泊施設「人吉ゲストハウス堺」も2階の床上（地上から4.7メートルの高さ！）まで水があがってきたといいます。

被災から1年以上の時を経て2021年10月、名前を変えてグランドオープンした「Ao.HOSTEL＆CAFE LOUNGE」。1階に新設されたカフェは、鉄筋コンクリートの建物の中に天然の木を組み合わせた、あたたかみを感じるおしゃれな空間です。パティシエがつくるスイーツが話題となり、県内外から多くのお客さんで賑わっています。

県外の大学を卒業後、人吉に帰ってきた堺さんは、球磨川でラフティング体験を提供する会社に入社します。日本三大急流に数えられる球磨川で体験できるラフティングは、人吉球磨でしか味わえないスリリングなリバーアウトドアスポーツとして人気です。堺さんは、ラフティング会社で経験を積んだ後、3年前にアウトドアコンテンツを提供する会社を立ち上げ、独立します。ゲストハウス事業とともに、人吉球磨の魅力を伝え、観光客を呼び込む仕事に取り組んでいるわけです。アウトドア事業で、カフェを併設していた経験を活かし、2021年のゲストハウスグランドオープンの際にはカフェスペースを計画したそうです。

堺さん一家は、桃農家でもあるそうで（！）カフェで出てくる桃のジェラートは堺さんの農場で育ったもの。市場に出しても、規格外で返ってくるものがあり「もったいない！」とつねづね思っていたという堺さん。カタチは悪くても、キズがちょっと入っていても、味は一級品。その桃を使ったジェラートをはじめ、季節のフルーツたっぷりのパフェ、焼きたてカヌレなど、オリジナルスイーツ目当てで通う人も数多いといいます。ちなみに、現在のカフェスペースは元々堺さんの子ども時代の子ども部屋だったそうで、思い出とともに進化する店に感慨深いものがあるようです。

「Ao.HOSTEL＆CAFE LOUNGE」のオープンのきっかけともなった令和2年7月豪雨ですが、堺さんはその当時の様子を教えてくれました。「球磨川が氾濫することが、いつかは起きるかもしれない」。そのようなイメージがあったため、“その時”のために堺さんは心の準備をしていたそうです。2020年7月4日、激しい雨とともにどんどんあがる水位を見ながら、ラフティングのボートを漕いで屋根にのぼって動けない人たちを助けてまわりました。日頃から「ラフティングのボートで、できることがある」とイメージし、シミュレーションをしていたからこそできたレスキュー活動でした。レスキュー活動の後には、ラフティング仲間といっしょに被害が大きかった青井阿蘇神社に手伝いに行ったそうです。地域のつながりの強さがわかるエピソードです。

【Ao.HOSTEL＆CAFE LOUNGE】
人吉市紺屋町67-4　Tel.0966-22-5097
営業時間　9:00〜18:00　定休日：木曜
@ao.hostel_cafe_lounge

＜メッセージ＞

生まれも育ちも人吉。大学時代に県外に出ていたことがありますが、この町はひとことで言うと“ちょうどいい町”です。自然が豊かで、割と便利な場所でもあるので、ワーケーションで仕事をするにはとても良い環境だと思います。

＜堺さんの地元自慢＞

地元でおすすめの場所は、球泉洞。人吉市内から車で30分くらいの球磨村にある鍾乳洞です。九州本土の中では最大級で、全長が約5kmもあります。ぜひ足を運んでもらいたいスポットです。また、Ao.HOSTEL&CAFE LOUNGEの周辺に、新しいグルメスポットができています。その名も「EAT! LIVE 人吉紺屋小町」です。2020年の豪雨被害から復興に向けた飲食店街となります。こちらもおすすめしたいスポットですね。