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お知らせ 2023.1/06

蓑毛鍛冶屋 十代目 蓑毛勇さん

人吉球磨に来たら、この人にぜひとも会っていてほしい。地域のディープな魅力にふれるなら、この人の話を聞いてほしい。

そんな人を人吉球磨ワーケーションのコンシェルジュが紹介していく「人物図鑑」。

 

「人物図鑑」の第1回目を飾るのは、簔毛鍛冶屋の十代目、簔毛勇さんです。

簔毛勇さんのことをひとことで紹介するならば、異色の経歴をもつ鍛冶職人さん。

職人さんといえば、話しかけづらいイメージがあるかもしれませんが、話してみるとそのやわらかい物腰とやさしい笑顔にほんわかすること間違いなし、の人物です。

 

勇さんで十代目の簔毛鍛冶屋さんは、約250年の歴史があるといいます。創業時のはっきりとした文献は無いそうですが、初代(と思われる方)が226年前に亡くなったという記述がある文献が残っていることから、250年はあるのではないかといわれています。現在は、八代目の裕(ゆたか)さん、九代目の稔(みのる)さんの三世代で、毎日鋼を鍛えていらっしゃいます。

勇さんは、幼稚園の時に「鍛冶屋の跡継ぎになる」と将来の夢を文集に書いていたくらい、小さい頃から鍛冶職人になる気まんまんだったようですが、いざ高校卒業する段階になって九代目であるお父さんの稔さんから「継がなくていい!」と衝撃の言葉をもらったといいます。幼い頃から身近にあって、将来の夢でもあった鍛冶屋さんが、一気に遠くなってしまった勇さんは、「さて、卒業したらどうしよう」と途方に暮れたそうです。ただ、途方に暮れたのは一瞬。たまたま次の週にあった自衛隊の説明会で、そのまま海上自衛隊へ入隊するという、異色の経歴の第一歩を踏むわけです。

海上自衛隊に入隊した勇さんは、厳しいながらも、充実した毎日を過ごしたそうです。入隊から11年で退職するまでの間も、心の中では「鍛冶屋になる」という思いが、いつもどこかにあったようです。自衛官から、鍛冶職人。ものすごい転身ですが、自衛官としての経験が勇さんのものづくりに生きています。SNSで人気に火がついた、鍛冶職人がつくるアウトドアナイフです。持ち手にパラコードを巻き、グリップしやすいように工夫。自衛隊での経験が生きている商品です。使いやすさにこだわったもので、遠くから求めにくるファンもいるとか。鎌や包丁、アウトドアナイフの商品は勇さんのおばあちゃんが切り盛りする店舗で販売しています。2022年現在、店舗の裏に工場建設を計画中とのことで、商品と実際につくっている姿を一度に見られるようになります。

【 工房 】 人吉市下薩摩瀬町1596-3 Tel.0966-24-2597
【 店舗 】 人吉市紺屋町70 Tel.0966-23-3874

 

<メッセージ>

鍛冶屋の工場では、八代目、九代目、十代目の親子孫の三代でいっしょに仕事しています。私の師匠である祖父はこの道70年以上、同じく父は40年以上、そして私は6年目。師匠たちの背中を見ながら技術を学び、「いいものをつくりたい」との思いでものづくりに向き合っています。だいたい工場にいますので、気軽に「こんちは!」と入ってきてほしいです。2020年の水害で更地になっていた店舗の裏に工場を設ける予定なので、商品がどういう工程でできているのか、もっと気軽に見ることができるようになります。楽しみにしてください。

<簔毛さんの地元自慢>

近所のおじさん、おばさんと仲が良いところ(笑)「鮎ばとりにいくばい(訳:鮎をとりにいこう)」と声がかかれば、よろこんでいっしょに行きます。いくつになっても川で鮎を手づかみでとる楽しさは、人吉球磨の自慢ポイントでもあります。人と自然のつながりが、いなかならではのおもしろみです。

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